部分矯正について
部分矯正は、一部の歯並びを整える矯正治療です。叢生(歯がデコボコしている)、正中離開・空隙歯列(歯の間に隙間がある)、上顎前突(歯が前に突き出ている)など、さまざまな不正咬合において、軽度のケースに適用できる可能性があります。
噛み合わせをしっかりと整えるためには全体的な矯正が必要なため、まずは部分矯正を適用できるかどうかの確認が必要です。
部分矯正のメリット・デメリット
メリット
- 動かす歯の本数が少ないため低価格で治療できる
- 歯の移動量が少ないため短期間で治療できる
- 矯正装置を装着する期間が短いため、心身の負担を抑えられる
デメリット
- 一部の歯を動かしたい場合にのみ適用できる
- 噛み合わせまでは改善できない
- 仕上がりの良さが全体矯正に劣る
部分矯正が難しい歯並び
部分矯正は主に「軽度の不正咬合」に適用されます。重度の叢生や開咬、骨格に起因する上顎前突、下顎前突などは改善できません。また、治療法や適用できる可能性については患者さんの歯並び・噛み合わせによって異なります。
当院では、部分矯正が可能かどうか慎重に見極めたうえで、十分な説明を行っております。矯正治療の負担をなるべく抑えたい方は、一度ご相談ください。
後戻りした歯並びにも効果的
矯正治療後は、歯並びが元の状態に戻ろうとする「後戻り」が起きる可能性があります。後戻りといっても完全に元通りになるのではなく、歯並びが少し乱れる程度です。そのため、後戻りの治療には部分矯正を適用できる場合があります。
部分矯正の適用可否は、後戻りの状態によって異なります。もし、矯正治療後に歯並びが再び乱れ始めたように感じたときはお早めにご相談ください。
部分矯正の適応可否を
矯正シミュレーションで確認
部分矯正の適応可否を確認し、治療計画を立てるために、iTeroという光学式口腔内スキャナーを使用しております。iTeroは、口の中を効率的にスキャンし、患者さんの歯型をデジタルデータとして保存できる口腔内スキャナーです。
そうして取得したデータを基に、インビザラインなどのマウスピース矯正装置を用いたシミュレーションを行います。どの歯をどの程度動かせば理想的な歯並びを実現できるかがわかるため、治療の正確性と効率性が向上します。
部分矯正の治療方法
インビザライン(マウスピース矯正)
インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発し、世界中で1400万人以上が使用しているマウスピース型カスタムメイド矯正装置です。(2022年9月時点)
透明なプラスチック製のマウスピースを使用するため、口を開けたときにほとんど目立ちません。また、インビザラインはワイヤー矯正と比較して、弱い力で歯を徐々に移動させるため、痛みが少ないとされています。
また、装置は食事や歯磨きの際に取り外すことができます。これにより、食事や歯磨きに影響がなく、これまでどおりに生活していただけます。
インビザライン・エクスプレスパッケージ
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置「インビザライン」のエクスプレスパッケージ(Invisalign Express)は、片顎につき最大で7ステージのアライナーを使用します。主に前歯のズレや隙間、後戻りの防止など、比較的軽度の歯並びの問題を対象としています。症例が軽度であり、3~4ヶ月で治療を完了できる場合に適しています。
インビザライン・ライトパッケージ
インビザライン・ライトパッケージでは、片顎につき最大で14ステージのアライナーを使用します。すきっ歯や出っ歯など、前歯の軽度な歯並びの問題を対象としています。
治療期間は約7ヶ月です。症状が軽度であるものの、エクスプレスパッケージでは対応が難しいケースが対象です。
ワイヤー矯正(表側)
ブラケットとワイヤーを装着し、歯に力をかけて移動させます。装置を歯の表側に装着するため、口を開けたときに目立ちます。また、食べかすやプラークが装置に挟まりやすいため、こまめなブラッシングが必要です。このようなデメリットがある一方で、軽度であればほぼ全ての症例に適用できるというメリットもあります。
ワイヤー矯正(裏側)
ブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着するため、口を開けたときに目立ちません。表側に装着するよりも高度な技術が必要なため、費用が高くなることがあります。表側ワイヤー矯正と同様に幅広い症例に適しています。ただし、舌が装置に当たりやすいため、最初は違和感を覚えるでしょう。違和感は次第に薄れていくため、大きな心配はありません。